研究者総覧「情報知」
情報システム学専攻
- 氏 名
- 山口 由紀子(やまぐち ゆきこ)
- 講座等
- 情報ネットワークシステム論講座
- 職 名
- 助教
- 学 位
- 工学修士
- 研究分野
- ネットワーク運用技術 / セキュリティ対策技術
研究内容
幸せな利用環境の実現
■研究の概要■大学においてネットワークは教育研究活動を遂行する上で今や必要不可欠な存在となっており、ネットワーク管理者にとって安全なネットワークの安定した運用 が重要な責務となっている。全学の基幹サーバの日常的な管理・運用に加え、増大する迷惑メールや日々発生するウィルス感染への対策も課題となっており、こ れらの事例に対応するための技術の調査・導入を行っている。
また、大規模音声対話コーパスを利用した音声対話システム構築のための音声言語処理技術の研究開発も行っている。
■研究テーマ■
(1) ネットワーク運用技術
学内LAN構築時よりネットワーク管理に携わっており、ネットワークは使えればいいという時代から現在の高速で安全でなければならないという様々な状況で のネットワーク設計・運用を行ってきた。安全なネットワークの実現のためにファイアウォール、侵入検知システム、電子メールのウィルスチェック機構などの 機能の導入を行い効率的なセキュリティ確保を目指している。
また、新しいネットワークの利用形態の調査研究として、研究開発テストベッドネットワーク(JGNII)を用いた接続実験などを行っている。平成17年3 月には岩手、静岡、名古屋、岐阜、三重の5会場をJGNで接続して「JGNII・防災シンポジウム」を開催した。
(2) セキュリティ対策技術
インターネットの普及に従って、迷惑(SPAM)メールも増大している。特に大学の研究者はメールアドレスを公開する機会が多いため、大量の迷惑メールを 受信しており、メールの振り分けに時間がかかっている。迷惑メールに対処するための方法は利用者各個人で設定する方法、サーバ単位で導入する方法など様々 なものが提案されいる。これらの技術を導入し、効果の調査を行うことにより、実践的なセキュリティ技術の応用の研究を行っている。
(3) 音声言語処理
音声認識技術の向上により、音声を入力とするシステムの実現が可能となりつつある。このような状況から、名古屋大学CIAIRが3年間にわたって収集した 実走行車内の対話コーパスを利用して、音声対話システムの構築を目的とした発話意図推定、対話制御、発話生成に関する研究を進めている。
書き起こしテキストからなるコーパスに新たに話者の発話意図を付与した「意図タグ付きコーパス」を構築し、対話解析、情報抽出などへの適用を行っている。 特に対話解析の研究では、対話全体を意図タグ系列として捉えることにより対話の構造を木で表現し、既存の自然言語処理技術の応用を目指している。
■今後の展開■
今後も大学における教育研究活動のネットワークへの依存度は高まる一方である。種々提案される新しいネットワーク技術から大学の環境に適したものを導入す るための調査研究を行っている。
名古屋大学キャンパス情報ネットワーク構成図
観測用アドレスでの1日当たりの迷惑メール受信数
経歴
- 1982年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士前期課程修了。
- 1982年株式会社富士通研究所。1991年名古屋大学大型計算機センター助手。
- 2002年同大学情報連携基盤センター助手。
所属学会
- 電子情報通信学会
- 情報処理学会
主要論文・著書
- “Shibboleth・CAS連携による東海アカデミッククラウド認証基盤の構築,” 信学技報, vol.111, no.321, IA2011-44, pp.49-53, 2011.