男女共同参画推進
情報科学研究科の男女共同参画について
名古屋大学では2003年1月に「男女共同参画室」が設立され、男女共同参画に関する様々な取り組みを実施しています。このサイトでは、情報科学研究科で 現在活躍中の女性教員を紹介しています。この教員らが呼び水になって、女性教員を目指す方が増えていくことを期待しています。
2017年10月
情報科学研究科長 村瀬洋
複雑系科学専攻 生命情報論講座
吉田久美(よしだ くみ)教授
名古屋大学大学院農学研究科博士前期課程修了。農学博士。
研究分野は天然物化学、生物有機化学、植物化学。
創造的な研究環境で
好きなことを一生懸命に
アントシアニンによる花色発現の解明に挑んでいます。現在のテーマはアジサイの花色の変異。アジサイは環境などによって花色が変化することで知られていますが、その仕組みはわかっておらず、細胞の分析を進めています。また、アントシアニンの健康効果や発電性能に注目し、有機化学合成の研究も行っています。こうした研究活動を振り返ると、常に志向してきたのは、創造型の研究です。
その都度、必要なことを学んだり、研究手法を限定せずに共同研究に取り組んだりして、新たな疑問や興味を次の研究へ発展させてきました。そういう意味では、情報科学研究科は最適の研究環境。コンピュータサイエンスやメディア科学、社会システムなどの幅広い分野から、性別も国籍も出身も異なる多様な人材が集まる場所だからこそ、創造的な研究が生まれると感じています。
私の場合、当初の研究環境は恵まれたものではありませんでした。生命科学に興味を持って農学部に入り大学院に進学しましたが、当時、その研究室では初の女子学生。企業に就職した際も、修士卒の初の女性研究員という肩書がついてまわる時代で、女性ゆえの悔しさも経験しました。
でも、鈍感力が長けていたのか(笑)、自分が置かれた環境を気にしてもきりがないと、ただ好きな研究を夢中になって続けてきました。それが結果として一生の仕事になり、今はとても幸せです。これから研究者を目指す女性の皆さん、好きなことを見つけて一生懸命やりましょう。今いる場所で全力を尽くせば、きっと道は拓けるはずです。
複雑系科学専攻 物質情報論講座
張 賀東(ちゃん ふうとん)准教授
名古屋大学大学院工学研究科電子機械工学専攻博士後期課程修了。工学博士。
研究分野はナノ物理現象のシミュレーション、ナノ計測 、ナノトライボロジー
常に新しいチャレンジができる。
それが研究職の醍醐味です。
高校時代、実は文系の方が得意だったんです。でも、文理選択の際、「理系科目が苦手なわけじゃない!
という反発心がわいてきて、理系の道へ進みました。名古屋大学で出会ったのがナノテクノロジーの研究。その面白さにひかれて研究者になり、現在はPCなどに使われる磁気ディスク装置(HDD)の表面に塗られているナノ厚さ潤滑膜の性能向上の研究に取り組んでいます。目指すのは、大容量化や省エネにつながる次世代HDDの潤滑技術の確立。一層の膜に2つの機能を両立させる技術や3次元テクスチャーの開発など、独自のアプローチから研究を進めています。
現在の研究環境の魅力は、一言で言えば「自由」。誰もが気楽に意見交換ができ、個々の研究者が独立して自分のテーマに打ち込める風土が広がっています。私は子どもがいるので子育てしながらの研究。時間が限られるので大変ですが、論文執筆やデータ分析は自宅でもできるため、大学の研究者は育児と仕事を両立させやすいのではないでしょうか。
学校の行事や子どもが病気になったときに休みが取りやすいのも、自分のスタイルで仕事ができる研究者だからこそです。研究は地道な作業の繰り返し。ただ、実験データの中に新しい現象を発見したり、その原因が自分の考え通りだったりしたときは、本当にうれしくやりがいを感じます。また、研究職のように自分がやりたいことに常にチャレンジできる仕事は、世の中を見渡してもそうそうありません。あのとき理系の道を選んで良かった、研究者になって本当に良かったと実感しています。