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研究者総覧「情報知」

情報システム学専攻

氏 名
片桐 孝洋(かたぎり たかひろ)
講座等
情報ネットワークシステム論講座
職 名
教授
学 位
博士(理学)
研究分野
高性能計算・コデザイン / ソフトウェア自動チューニング / 超並列数値計算アルゴリズム
片桐 孝洋

研究内容

高性能計算およびソフトウェア自動チューニングの技術開発

■研究の概要■
科学技術計算で行われる数値計算シミュレーションを実行する際、スーパーコンピュータに搭載される最先端計算機で高性能を引き出すためには、計算機アーキテクチャと数値計算アルゴリズムの双方について高度な専門知識が必要とされます。また、プログラムのコード最適化のために試行実行を多数行う必要があります。そのため、時間的なコストを要します。この背景から近年、多様な計算機環境でも高性能を実現する自動性能チューニング(以降,AT)の技術開発が期待されています。本研究では主に、任意のコードにAT機能を自動付加する専用言語ppOpen-ATの開発とAT方式の評価を、運用中の最先端スーパーコンピュータを用いて行っています。


一方で、有限差分法や個別要素法を用いた数値シミュレーション、演算精度を保証する精度保証、および近年需要が急増しているビッグデータ処理(たとえばデータ同化や機械学習)の演算における高性能アルゴリズムと実装技法の研究を行っています。研究成果を最先端のスーパーコンピュータに適用し、広く利用者に提供できるフレームワークやツールの研究を行い、計算科学分野やビッグデータ分野の研究者の支援を行います。これらの研究活動を通じ、計算科学やデータサイエンス分野で必要となる高性能計算機システム開発に資する知見を集積し、コンピュータ・サイエンスと計算機科学で必要な高性能計算機システムのコデザインを推進します。


■研究テーマ■
(1)超並列数値計算アルゴリズムの開発
固有値計算法、基本行列分解(LU分解、QR分解)、疎行列反復解法(クリロフ部分空間法、GMRES法、BiCGSTab法)、反復解法の前処理手法(収束加速、安定化)、精度保証アルゴリズム、に関する研究と高性能実装手法(超並列化、高効率実装)の開発を行います。また、最先端のスーパーコンピュータへ適用評価を行います。


(2)数値シミュレーションにおける高性能計算手法の開発
粉体解析(個別要素法、DEM)、分子動力学(MD)、地震シミュレーション(有限要素法、FDM)、第一原理計算(固有値解析)、計算流体力学などによる数値シミュレーションで現れる演算に対し、高性能実装方式の開発を行います。


(3)ソフトウェア自動チューニングの研究
多様な計算機環境において、実行速度、電力、演算精度、メモリ量などの観点から高性能を達成する方式(性能可搬性を保証するフレームワーク)の開発を行います。自動チューニング専用言語(ABCLibScript、ppOpen-AT)、自動チューニングツール、および性能予測手法と自動チューニングへの適用方式の研究を行います。


最新の研究成果を知るためには、以下のHPをご覧ください。
http://www.abc-lib.org/MyHTML/index-j.html

経歴

  • 2001年~2002年、独立行政法人 科学技術振興機構 さきがけプログラム 研究者 (研究代表者)
  • 2002年~2007年、国立大学法人 電気通信大学大学院情報システム学研究科 助手
  • 2005年~2006年、米国カリフォルニア大学バークレー校 計算機科学科 訪問学者
  • 2007年~2011年、東京大学 情報基盤センター スーパーコンピューティング研究部門 特任准教授
  • 2011年~2016年、東京大学 情報基盤センター スーパーコンピューティング研究部門 准教授
  • 2016年~現在、名古屋大学 情報基盤センター 大規模計算支援環境研究部門 教授

所属学会

  • 情報処理学会
  • 日本応用数理学会
  • 日本計算工学会
  • SIAM
  • IEEE-CS

主要論文・著書

  1. Takahiro Katagiri, Yasumasa Kanada, “An Efficient Implementation of Parallel Eigenvalue Computation for Massively Parallel Processing", Parallel Computing, Vol.27, No.14, pp.1831-1845, 2001.
  2. Takahiro Katagiri,Kenji Kise,Hiroki Honda,Toshitsugu Yuba,"ABCLibScript: A Directive to Support Specification of An Auto-tuning Facility for Numerical Software",Parallel Computing,Vol.32, Issue 1, pp.92—112, 2006.
  3. Takahiro Katagiri, Satoshi Ohshima, Masaharu Matsumoto, "Directive-based Auto-tuning for the Finite Difference Method on the Xeon Phi", The Tenth International Workshop on Automatic Performance Tuning (iWAPT2015), Proceedings of IEEE IPDPSW2015, pp.1221-1230, 2015.