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研究者総覧「情報知」

メディア科学専攻

氏 名
森 健策(もり けんさく)
講座等
協力教員
職 名
教授
学 位
博士(工学)
研究分野
画像処理 / 可視化 / 医用画像処理

研究内容

高次元画像処理手法の開発とその医用画像への応用
病院等で用いられるCT・MRIといった医用画像撮影装置の進歩は非常に目覚しく、例えば最近のCT装置では人体内部の高精細かつ広範囲な画像をわずか20秒程度の間に取得することが可能となった。この医用画像を基にして、人体内部を探索しながら(画像を見る)、病気が疑われる部位を自動的に探し(画像から見つける)、必要であれば切り開き(画像を変形する)、そして手術・検査を助ける(画像を頼りにガイドする)手法・システムの開発を行っている。特に3次元あるいは4次元医用画像を基に人体内部の自由な探索が可能な仮想化内視鏡システムを中核に据え、これを用いた画像診断支援システム、外科手術支援システムの開発と、それらを実現するために必要な画像認識・理解、コンピュータビジョン、コンピュータグラフィックス、ユーザインタフェースの各諸技術の開発を行っている。以下研究成果例を示す。
1.仮想内視鏡システム
仮想内視鏡システムは3次元医用画像を基にあたかも内視鏡で観察したかのような画像を生成するシステムである。ここでは、3次元CT像から各臓器領域を認識する手法、対話的可視化手法などの要素技術が開発されている。大腸鏡、気管支鏡といった実内視鏡と比較し、仮想化内視鏡システムは、(1)患者に苦痛を与えない観察が可能、(2)任意位置・方向からの観察が可能、(3)半透明表示することで、対象とする臓器のみでなくその背後にある臓器まで観察可能といった利点を持つ。本研究において開発された仮想内視鏡システムは多くの病院で活用されており、新しい医用画像観察手法の一つとして定着し始めている。特に最近では仮想内視鏡システムを大腸がん診断ツールして用いるための必要な技術の開発を行っている。
2.内視鏡ナビゲーションシステム
この研究では、気管支鏡といった自由に曲げることのできる軟性内視鏡を対象としたナビゲーションシステムの開発を行っている。ここでは、検査前に撮影された3次元CT像を一種の地図として用い、内視鏡ビデオ画像の解析を行うことで、カーナビゲーションシステムと同様に、現在の観察部位の提示、重要臓器(傷つけてはいけない臓器)の存在位置を提示、目的部位までの経路を表示する手法の開発を行っている。このシステムを医師が利用することで、検査時に的確な判断を下すことができ、医療技術の向上が期待できる。気管支内視鏡の場合、場所的な制約から位置センサなどで内視鏡先端位置・方向を直接測定することが出来ないため、気管支内視鏡により撮影される画像からコンピュータビジョン、画像間位置あわせの手法を用いることで内視鏡カメラの動きを推定し、それを基に医師に対してナビゲーション情報を提示する手法の研究を行っている。
3.高速ボリュームレンダリング
ボリュームレンダリングとは3次元画像を光線追跡の技法を用いて表示する手法であり、医用画像処理ならず、乱流場の可視化など、その応用例は幅広い。しかしながら、描画処理自体には非常に数多くの演算を要すため、対話的な速度で描画することは困難である。本研究では、通常のPCにおいてソフトウエアのみで高速にボリュームレンダリングする手法の研究開発を行っている。
4.画像変形と画像診断支援・外科手術支援
医用画像をそのままの形で観察するのではなく、積極的に画像を変形することで画像診断支援・外科手術支援を行うシステムの開発を行っている。ここではCT像から胃領域を取り出しそれを仮想的に展開する手法、腹壁を仮想的に持ち上げ腹腔鏡像を生成する手法などの研究を行っている。 CT装置の急速な進歩により臨床の場において医用画像が取り扱われる機会が急速に増加しており、計算機を用いた医用画像処理による診断・治療支援技術の開発がますます求められている。このような状況において3次元画像認識・理解・表示手法といった基礎的な技術を開発し、それを医用画像に適用することで、今後この分野の研究を発展させたいと考えている。
大腸ポリープ診断支援システム

大腸ポリープ診断支援システム

経歴

  • 1996年 名古屋大学大学院工学研究科博士課程後期課程修了
  • 1996年 日本学術振興会特別研究員(PD) 2000年 名古屋大学難処理人工物研究センター助教授 2001年 米国スタンフォード大学医学部脳神経外科客員助教授
  • 2003年 名古屋大学大学院情報科学研究科助教授

所属学会

  • 電子情報通信学会
  • 日本生体医工学会
  • 日本医用画像工学会
  • コンピュータ支援画像診断学会
  • 日本コンピュータ外科学会等
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主要論文・著書

  1. 造影3次元腹部X線CT像からの肝臓領域自動抽出手法の開発,コンピュータ支援画像診断学会論文誌,8,1-3,2004.
  2. Tracking of a bronchoscope using epipolar geometry analysis and intensity-based image registration of real and virtual endoscopic images, Medical Image Analysis, 6, 2002.
  3. Automated Anatomical Labeling of the Bronchial Branch and Its Application to the Virtual Bronchoscopy System. IEEE Transactions on Medical Imaging 19, 2, 2000.