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研究者総覧「情報知」

計算機数理科学専攻

氏 名
岡村 和弥 (おかむら かずや)
講座等
情報数理モデル論講座
職 名
特任助教
学 位
博士(理学)
研究分野
場の量子論 / 量子測定 / 統計学

研究内容

場の量子論の研究

研究の概要:
場の量子論はHeisenbergとPauliによって提唱された物理学の基礎理論であり,70年代後半から80年代前半までに物理的に一応の満足がいく形に完成した。しかしながら,数学的には現在も未完成で,近年の量子情報理論の進展から物理的にも追究すべき課題がいくつもあることが知られている。数学と物理にまたがる諸課題の解決を目指して場の量子論を含む無限自由度量子系の諸相を物理学・数学双方の観点から研究している。


研究の詳細:
量子論は本来的に確率論的な対象を扱う理論であり,数学的には代数的確率論に基づいて定式化される。そのため,確率論および統計学を用いた解析は必須であって,量子論を理解する目的にとって避けて通ることはできない。無限自由度量子系も例外ではない。場の量子論をはじめとした無限自由度量子系での統計的推測の理論は研究が進んでいない現状がある。加えて,有限自由度系での測定理論がここ30年で数学的に特徴づけられた一方で,無限自由度系での測定理論があまり研究されてこなかったため未だ不透明な状況である。このような現状を変えるため,場の量子論をはじめとした無限自由度量子系を物理的状況・実験設定を踏まえて精密に取り扱えるよう数学的基礎から測定理論および統計学まで幅広く包括的に扱うのが私の研究方針である。以下がその研究成果である:
・代数的場の量子論での局所状態の提唱と局所状態に対するセクター概念の一般化(小嶋泉氏,西郷甲矢人氏との共同研究)
・無限自由度量子系における測定理論の定式化と場の量子論への応用(小澤正直氏との共同研究)
・セクター概念と測定過程に基づく「Born統計公式」の証明(小嶋泉氏,西郷甲矢人氏との共同研究)
・無限自由度量子系の統計理論の定式化(小嶋泉氏との共同研究)

経歴

  • 2013年 名古屋大学大学院情報科学研究科特任助教
  • 2014年 京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻数理解析系修了

所属学会

  • 日本物理学会
  • 日本統計学会
  • 科学基礎論学会

主要論文・著書

  1. I. Ojima and K. Okamura, Large Deviation Strategy for Inverse Problem II, Open Sys. Information Dyn. 19, No.3, 1250022 (2012).
  2. 小嶋 泉,岡村 和弥,無限量子系の物理と数理,サイエンス社,2013.
  3. K. Okamura and M. Ozawa, Measurement theory in local quantum physics, 2015, preprint.