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研究者総覧「情報知」

社会システム情報学専攻

氏 名
間瀬 健二(ませ けんじ)
講座等
知識社会システム論講座
職 名
教授
学 位
博士(工学)
研究分野
対話支援 / 状況処理・理解 / ユビキタスインタフェース
間瀬 健二

研究内容

マルチメディアコミュニケーション工学の研究
共同でモノを創造したり生産する際、我々は必ずコミュニケーションを必要とする。社会活動においても、コミュニケーションを欠くことはしばしば問題を生じさせる。しかし、コミュニケーションにおいて、的確に自分の意図を伝えたり相手を理解することは容易ではない。自分の体験や行動を「記録・記憶」し「要約」して、相手に「表現」して伝え、相互に「理解」することが、体験や知識に基づくコミュニケーションの重要なステップである。これらのステップにコンピュータを介在させて、コミュニケーションを支援することが、本研究の目的である。現在、次の3つの柱で研究を進めている。
(1) 体験を記録・要約して相手に伝えることを支援するメディア技術
会議録やスポーツ・旅行、日常生活をユビキタス・ウェアラブル装置で記録し、要点をまとめ、記憶回想を補助したり対話を可視化して共同作業を支援する技術を開発している。記録の際に、様々な粒度でセグメント化し、あとの引用を便利にする的確な注釈をつける技術をメディア処理やインタフェースデザインの観点から追求している。会議の映像記録や体験記録ウェアラブルシステムへの応用がある。
(2) 状況認識・理解のためのメディア処理技術
体験の記録には、体験した事実がどのような状況で起きたのかという文脈(コンテキスト)が、記憶と回想の場面で重要な役割を果たしている。とくに文脈や状況の認識・理解はパターン認識の新しい分野として注目されている。現在は、医師と患者の対話状況の分析や、インタラクションパターンの分析などの研究課題からアプローチしている。
(3) ユビキタスシステム(インタフェース)デザイン技術
ユーザの文脈状況やインタラクションを分析・理解することによって様々なサービスを提供するユビキタスシステムを実現できるようになる。音声研究分野において重宝されたコーパスをインタラクションについて蓄積・分析・利用する、インタラクション・コーパスを提案中である。また、新しいユーザインタフェースとしてコミュニケーションロボットの身体性に着目し、利用形態を研究している。
本講座は、情報連携基盤センター情報基盤システムデザイン研究部門による協力講座である。情報連携基盤センターでは、名古屋大学の多数多様な情報システムを統合し、一般利用者にも情報管理者にも安全で快適な情報システムを提供するための情報基盤アーキテクチャデザインの研究開発を進めている。例えば、名古屋大学ポータルの開発・運用によって全学の学務システムやe-Learningなどの個別サービスの安全な統合ログイン環境を提供中である。また、個人IDによる認証基盤を構築して国際交流データベースや情報科学研究科計算機システム等の運用で利用されている。
外部資金による研究プロジェクトとしては、名古屋大学情報系COE「社会情報基盤のための音声・映像の知的統合」のWG主査としてCOEの運営を担当中である。また平成16年度からは、文部科学省リーディングプロジェクトcc-Societyの研究課題で「ユビキタス環境下での高等教育機関向けコース管理システム」というユビキタスラーニング(ULAN)の研究開発プロジェクトの代表者をつとめている。
私の専門は、表情やジェスチャ認識などの、動画像処理とそのユーザインタフェースへの応用が基盤である。ユーザインタフェースをより良くしようと考えたとき、システムがユーザの状況や興味を理解して、適応的に反応する必要があるという考えに至った。上記の研究課題は、どれもこの考えを原点としており、将来、情報システムは、人間型ロボットやウェアラブルコンピュータを含む形で、人間と共生するシステムとして発展していくと思われる。人間の状況や行動理解をし、人間同士のコミュニケーションや共同作業を支援することは、その実現のための必須技術となる。実用的なアプリケーションにつながる研究開発とともに、人間の記憶の情報処理モデルやユーザインタフェースの基礎理論を提案していきたい。 URL http://mase.itc.nagoya-u.ac.jp/~mase/
 
全方位会議記録、コミュニケーションロボット、ウエアブル

全方位会議記録、コミュニケーションロボット、ウエアブル

経歴

  • 1981年名古屋大学大学院工学研究科修士課程(情報工学)修了
  • 1981年日本電信電話公社入社 横須賀電気通信研究所配属
  • 1988~1989年米国MITメディア研究所客員研究員
  • 1995年(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)研究室長
  • 2002年名古屋大学情報連携基盤センター教授 
  • 2009年名古屋大学大学院情報科学研究科教授 現在に至る

所属学会

  • IEEE(Senior Member)
  • ACM
  • 電子情報通信学会(フェロー)
  • 情報処理学会
  • 日本VR学会
  • 画像電子学会
  • ヒューマンインタフェース学会
  • 映像情報メディア学会

主要論文・著書

  1. Recognition of facial expression from optical flow, IEICE Transactions, vol. E74, no. 10, 1991.
  2. グループによる発散的思考における自律的情報提供エージェントの影響,人工知能学会誌,Vol. 14,No. 1,1999.(人工知能学会論文賞受賞)
  3. ITテキスト:「エージェント工学」,オーム社,2002.7.
  4. Human Reader : A Vision-based Man-machine Interface, in book "Computer Vision for Human-Machine Interaction", Cambridge University Press, 1998.
  5. Ubiquitous Experience Media, IEEE Multimedia, Oct-Dec, pp. 53-81, 2006.
  6. Informal Conversation Environment for Collaborative Concept Formation, in book "Community Computing : Towards Global Collaboration", John Wiley & Sons, pp. 165-205, 1998.
  7. Kenji Mase, Koji Imaeda,Nobuyuki Shiraki, Akihiro Watanabe, "Extraction of Pedestrian Regions Using Histogram and Locally Estimated Feature Distribution", in "In-Vehicle Corpus and Signal Processing for Driver Behavior", edited by Kazuya Takeda, John H.L. Hansen, Hakan Erdogan, Huseyin Abut, pp. 111-124, Springer. (2009.1)