この回避パターンは,回避対象の後方に回り込むことにより回避対象の進行方向と自分の進行方向が交わらないようにするもので,もっとも安全かつ確実に対人回避できる方法であると考えら れる(図2.5参照).
このような回避行動をとる場合は,安全指向が高い人,心理状態あるいは時間
的に余裕のある人があてはまる.
しかし,この方法では目標地点に対して,迂回してしまうことになり,歩行距離
が長くなってしまう.ただ,自分自身(の速度を緩めて同様の回避行為を
とった場合,同じ速度のまま回避行為をとるよりも目標地点到達時間は増加する
が,歩行距離は減少する.速度を強めると逆の現象が起きる.
この回避パターンは,自分が相手の予想進路上に入ることで,衝突を回避するも のである(図2.6参照).
この回避行動では速度を速めるなどして,できるだけ速く回避対象の進路方向上に入るこ
とが必要である.その際,相手の進路方向に対し,垂直に自分の進行方向を設定
することにより,もっとも早く相手の予想進路方向上に入ることができる.
心理状態あるいは時間に余裕がない人がこのような行動をとる
であろう.
しかし,相手が自分とほぼ同時期あるいは先に,自分が目標とする進
路先に入ってしまった場合,回避方法を回避対象の後方へと進路変更するパターンに
変更しなければならない.
この回避パターンは,速度によってはもっとも衝突する可能性が高いが,歩行距
離に関しては最短であると考えられる.(図2.7参照)
このような行動をとり,衝突した場合は,強気であったり,あるいは相手側が回避してくれ
るだろうという依存心が強い人である.