液相中に放出された気泡群は,浮力で上昇しながら周囲に液相流れを誘起します.
このような気泡プルームは様々な工業装置で利用され,プルームと構造物の干渉がしばしば観察されます.
従来,比較的大径の気泡に対する実験が行われていますが,小さな気液間相対速度をもつ直径0.1 mm以下の微小気泡に関する知見は得られていません.
そこで,水タンク底面に電極を設置し,水の電気分解により微小気泡(約0.05 mm)を発生させ,誘起される気泡プルームの内部に置かれた円柱周りの流れを調べました.
図1は実験装置の概略です.
透明アクリル製のタンクに水が貯められ,直径D(= 0.03 m)の円柱2本が鉛直方向に直列に設置されています.
タンク底面には炭素棒(直径0.16D,長さ3.3D)が置かれ,直流電源から電圧が印可され,水の電気分解により水素気泡と酸素気泡が発生します.
気泡は浮力により上昇しながら周囲に水の流れを誘起します.
気泡体積流量は86 mm3/sであり,気泡の平均直径は0.05 mmでした.
円柱間距離が2Dの場合の気泡プルームの動画を図2に示します.
下方の円柱に衝突した気泡が円柱側面ではく離します.
水のせん断層のはく離に対応しています.
気泡のはく離せん断層は,円柱下流で中心軸方向へ巻き込まれます.
下方円柱の背後には気泡が少ない後流があります.
上方の円流は,後流の下流端にあります.
上方円柱の側面でも気泡せん断層が発生し,後流が生起しています.
図2 気泡プルームの内部に置かれた直列円柱周りの流れ(動画)
図4 気泡プルーム中に射出された渦輪による気泡の巻込み(動画)