青のSafety変数を-50,赤のSafety変数を-50に設定(図5.9)
青のSafety変数を50,赤のSafety変数を50に設定(図5.10)
青のSafety変数を-50,赤のSafety変数を-10に設定(図5.11)
このパターンが最も安全に回避できる.青のSafety変数の値が最小値で,赤の Safety変数の値が最大値であるあるため,基本的な回避行動は,青については, 相手の後ろを通るものとなり,赤については相手の前を通るものであるか ら,衝突する可能性は非常に低い. 2について
このパターンでは,Safety変数がお互い最小値であるから,双方が前方に入り 込もうとするため,結果的にお互いの進路を妨害していることになる. また,お互いに前方へ入ろうとしていたのが,突然,方向転換ている. 図5.9のみでは,時間的な変化を把握できないが,実際のシミュ レーションでは,青が方向転換している.この原因については,以下の理 由が考えられる.
また,緊急回避行動がとられた可能性については,青のセ ンサーが,相手の緊急回避領域に侵入することが予測されたために,自分 で自分の進行方向への移動を妨げることになり,対人回避行動をとらない と青が判断する座標関係になったと考えられる.いずれにしても,座標の 位置関係による,青の対人回避判断が原因であると考えられる.
3について
この回避パターンは双方が,相手の後ろから回りこもうとしたために,おこった もので,双方が回避の判断をする時間がほぼ同じであったために,このよ うな現象が起ったと考えられる.ただ,このシミュレーションでは,僅か に青の方が先に回避行動をとっている.したがって,青と赤の回避判断に 微妙な時間差が生じ,青も赤も,瞬間的に進行方向が目標地点方向と相手の 後ろ方向へと変化しながら進んでいるため,同条件にも関わらず,結果的 に,青と赤の描く軌跡のふくらみの度合いが異なっている.この僅かな時 間差は,プログラム設計上の問題であると考えられ,本システムにより構築したプログラ ムの処理は,短時間での描画にしては,膨大な量であるため,計算順序に おける時間差が生じ,その結果僅かな時間差が生じてしまったのと考えら れる. 4について
この回避パターンをとりあげたのは,赤のSafety変数が-10であるときに,緊 急回避領域侵入回数と目標地点到達平均時間が突然増大するからである. その理由については,図5.11をみれば一目瞭然であるが,なぜ このような結果になってしまったかを考察すると,原因は
また,図5.11において青の軌道と赤 の軌道が重なっている部分は,ほぼ対面しているが,赤の軌道の方が僅か に図5.11の中で右側に位置し,方向は,青の単位時間後の 方向を向いている.
また,今回のシミュレーションによる赤の回避行動は,上記をふまえるとSafety変数と青と赤の進行方向の時間的な距離において,以下の段階で行われたと考えられる.
また,赤が突然,回避状態から抜け出すことができたのは,
がおこったからである.図5.11ではわかりにくいが,実際には, 青の軌道が図5.11において右側へ移動した. その原因は,Java言語の座標系の問題と関係がある.
我々が,実際の歩行をする際,アナログ的要素を含んでいる.しかし,Java言語 における座標系での実際に与えられる座標の値は,整数部 分となってしまう.したがって,少数部分の切り捨てが起ってしまい,目 標位置への移動については,だいたい正確であるが厳密には常に正確な方向というわけではない.
したがって,このようなJava言語の座標系の特性から,青の僅かな軌道修正が起 こり,赤が回避行動をとらないと判断する座標の位置関係になったのであ る.