<Marpha〜Ghasa>

12日目:Marpha(2670m)からGhasa(2010m)へ

 ポテト・オムレツとレモン・シュガー・パンケーキが今日の朝食だ。お茶はミルク・ティーのミドル・ポットにした。パンケーキはもう少し焼いてくれてもいいのだが、これがこちらの流儀かもしれない。
 マルファ産のアップル・ブランディの子瓶を買い、8時前に宿を立つ。
 カリ・ガンダキの右岸を走る道を南へと進む。今日は風が強い。その風が河原の砂埃を巻き上げるので、遠くから見ると川面に霧がかかっているようだ。幸いだったのは風が谷間にそって追風だったことだ。

 トレッキング・ルートには夏道と冬道がある。乾季である今のシーズンは河原を通る冬道が使えるが、砂埃がひどいので途中からは夏道を行った。当然、川辺の山沿いを進むので河原とは違って多少のアップダウンがあるルートになる。トロン・パスを超えて以来ほとんど下りか平らな河原の歩きだったので、多少の上り坂にもいささかうんざりだ。
トゥクチェ(2590m)には9時ごろ着いた。ここのロッジで休憩し、アップル・ジュースをたのむと絞りたてのが出てくる。おいしいジュースで一息つく。今村さんらはミルク・ティーやブラック・ティーを飲んでいる。高度が下がり気温が上がってくるとどうしても冷たい飲み物になびいてしまう。
 ここの主人は2年ほど日本にいたという。日本語の雑誌もおいてあったりしたが日本人はいったいどれだけ来てるのだか?

 30分ほど休んで出発。しばらく右岸の道をえっちらおっちら行くと、カリ・ガンダキが大きく南へ蛇行する手前で吊り橋を左岸へ渡る。少し登って降りたところでコケタンティ(Kokhethanti)にでる。小さな集落でここでもお茶休憩をする。
 やはり注文はスプライトと冷たいもの。ミルク・ティーやレモン・ティーよりは冷たいものが欲しくなる暖かさの場所まで降りてきたということだろう。
 ここからは冬道である河原の上をカロパニ(Kalopani:2530m)まで歩く。カロパニ自体は比較的大きな集落で、石畳になった街道に沿ってロッジなどが点在している。
 景観は抜群だ。東側のアンナプルナと西側のダウラギリの白い山稜が囲み、のんびりとした集落はスイスの牧歌的な村を想像させる。

 12時も半ば、昼食は集落でもガサ寄りのロッジの庭でとった。日和もいい。飲み物は当然のごとくファンタを頼み、食事はミックスト・スパゲティを頼む。このスパゲティもうまい。
 後から30代前ぐらいの快活な人(日本人)がロッジに入ってきた。彼はジョムソンから来ていて今日はここで泊りという。何をしている人かと話を聞いてみると、ポカラで出品する作品を作る?ためにネパールにきていて、そのついでにトレッキングに来ているという。まあ、普通のサラリーマンなら今頃こんなところにはいないだろうが。
 彼の話によればここは見晴らしがよく、今なら2階南側の良い部屋が取れるという。ガサまで行くと谷間になり景観はこちらより落ちるという。この話を聞いて内心つよく思う。
 (今日はここに泊まるべきだろう。)

 自己を主張することなく、13時半頃にはカロパニを出発。カロパニに隣接しているレテ(Lete)のポリス・チェック・ポイントでパーミットのチェックを受ける。
 レテからみかけるようになったものに犬がある。それも昼寝をしているのがほとんどでおきている方がまれだ。最初に見た一匹なんかは街道のど真ん中の日当たりのいい石畳の上でぐっすり眠っていた。ほかには白いハト、アヒルというかガチョウ、大きな牛の家族?といったところになる。

 レテの急な坂を下りきるとカリ・ガンダキの様子は変わり、また狭い渓谷となる。景観の面からジョムソンへ空路で入って手短にトレッキングを楽しむのなら、北はムクティナート南はカロパニまでがお勧めだ。

 レテからはお茶休憩をとらずに歩き、ガサ(Ghasa:2010m)には15時頃到着する。といってもポリス・チェック・ポイントによったりしてガサでも南寄りにあるロッジについたのはそれから30分ほど後になった。今日はバハドールさんが予定していたロッジがいっぱいだったので、ここになった。
 ここはもう蚊でもでそうな雰囲気の場所だ。端的に言えばティベットから東南アジアへ戻ってきたというところか。虫に好かれる今村さんにとってはあまりうれしくない地域に戻ってきたともいえる。谷間になるためやや暗く、日が落ちるのも早い。
 部屋で荷物をまとめた後は、他にすることもなく食堂でヤギの肉(けっこういける)をつまみにロキシー(*1)を飲んだり、ポップ・コーンをつまんだりする。メニューにあったアップル・ジュースもたのんでみたが、マルファやトゥクチェのような絞りたてというわけにはいかなかった。

 この辺りのロッジなどのメニューはACAP(*2)やTrekking Hotel Association Mustangといった団体が統一させているようだ。もちろんボールペンなんかでメニューの追加・削除や値段の変更なんかはところどころしてある。
 夕食にはパンプキン・スープにスプリング・ロールやスチームド・モモを頼む。どうも見様見真似といった感じの料理で味はいまいちだった。
 同じメニューといっても出る料理の中身は宿によりまちまちだ。夕食がいまいちだったこともあり、あのカロパニを振り切って急いで足をのばしたことが恨めしい。機嫌が悪い時は寝るに限る。といっても電灯が無い寝室では日が落ちれば寝る以外ないのだが。

(*1): ネパールの地酒。
(*2): Annapurna Conservation Area Project

<13日目:Ghasa(2010m)〜Tatopani(1190m)>


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