<Jomsom〜Marpha>

10日目:Jomsom(2710m)からMarpha(2670m)へ

 朝食にはトマト・クリーム・スープにチーズ・オムレツ、そしてマンゴ・ジュースを頼む。もう遠慮なく食事をとれそうだ。今村さんはライト・ブレークファースト・セット(トースト、バター、オムレツ、ミルクティー)だ。
 カリ・ガンダキの南側に機影が現われたかと思うと、谷間に沿って滑走路に滑り込んできた。ホテルの2階から食事をしながら見ていると、荷物や人を降ろし、また人や荷物を積んでそそくさと飛んでいった。機体は朝の谷間の光と影の中、南の空に消えていった。
 今日はのんびりとして9時前頃に宿をでる。空港の手前で馬上にいた近藤さんと出会う。最後の握手を交わしてジョムソンを立つ。
 途中M.D.S.Aの農園を目にしながらカリ・ガンダキを南に下る。マルファには1時間ほどで到着した。タカリー族の街であり街道は石畳で覆われ、その下を水路がはしる。両側には石積みの建物が隙間なく並んで、石の肌触りと淡い白が街を彩る。
 今夜の宿はマルファの中ほどにある街道に面した宿だ。この建物は街道に面した入り口からかなり奥行きがあり、入ってすぐの食堂は一番奥のリンゴ畑から見ると3階の高さになる。部屋の窓からは日本で見るそれよりははるかに小ぶりだがとても赤いリンゴが手に届く位置に実っている。食堂もなかなか雰囲気が良く、ジョムソンのホテルにあったのと同じようなこちら式のこたつ(*1)がしつらえてある。夕食時などは欧米人でいっぱいだ。宿泊客も多く、部屋もほぼ埋まっているようだ。
 はしごをあがるとルーフ・トップに出ることができ、同じようなルーフ・トップがつらなるマルファの街を一望できる。テーブルや椅子もいくつか置いてあり、風がないときは日向ぼっこにちょうどいい場所だ。脇には茣蓙の上にスライスにしたリンゴがたくさん干してある。
 街を散策する。街道から西側は斜面になっており、石積みの壁に挟まれた通路が入り組んでいる。街道からやや高いところまで離れると廃虚のような造りの家々になり、その裏手は裸地の斜面が広がる。街道の東側、連なる家々の奥はリンゴ畑や田んぼがカリ・ガンダキの河原まで広がっている。
 街道には時折、トレッカーや鐘をならしながら馬の隊商が通り過ぎて行く。
 喉や鼻の調子はよくないが、腹のほうは大丈夫なようだ。昼食の後、シャワーでさっぱりする。ソーラーのやつと違い電気温水器なのでちゃんとお湯が出るのがいい(容量分を使い切ると冷たくなるが)。
 その後はルーフ・トップで日光浴をしたり、街に出歩いたりしてのんびりする。郵便局を見つけたので、近くの雑貨屋さんで絵葉書を買っておく。
 やがて日が傾いてくる。今夜の夕食はヤクのステーキだ。野菜はボイルしてもらい、他にキャロット・スープを頼む。飲み物はアップル・ジュースにする。炊事場でミキサーしたそのままの絞りたてでおいしい。
 リンゴだけでなく他の街に比べ野菜なんかが豊富なようだ。落ち着いた街で旅路の休息にはとてもいいところだ。心身ともにくつろいでシュラフにもぐると夜も更けてくる。

(*1): 長方形のテーブルの側面を布で覆って、背もたれのない長椅子で四方を囲っている。

<11日目:Marphaでの休息>


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