<Bahundanda〜Tal>

2日目:Bahundanda(1310m)からTal(1700m)へ

 朝は6時半に朝食、ベジタブル・ヌードル・スープとチーズ・オムレツを食べた。オムレツはしっかりとチーズがはいっていておいしかった。7時頃バフンダンダ(Bahundanda)を出発する。
 マルシャンディ川の谷は徐々に狭く深くなってゆき、次の集落へ続く道は、谷間の斜面に沿って上下するようになる。しばらく行くと吊り橋を渡りルートは対岸(西側)へ移った。橋を渡ってすぐのシャン(Syange:1100m)でお茶休憩をとる。朝方は気温も低く、谷間は日もさしにくいので涼しくていい。

 シャンを出発、だんだん日の光が後ろからさすようになる。多少のアップダウンはあるが高度を上げる分、坂は登りが多いのが当たり前か。
 ジャガート(Jagat:1300m)の手前30分くらいだろうか、やや長い登りが続いた。汗でTシャツがべっとりとなり喉が渇く。その登りをあがりきったちょうどその場所に茶屋が店を開いている。
 なんとまあ都合のいい場所にお茶屋があることか!
 お茶屋ある場所はここに限らず人が休みそうな絶妙な場所に立てられているのはたいしたものだ。次の集落はべつだん遠くないが、喉の渇きを我慢する理由もないのでここで渇きを潤していくことにした。
 頼んだのはスプライトだ。人や馬が運ぶことを考えると瓶よりは缶の方がはるかに効率がいいと思うのだが、缶はちょっと高級らしい。空き瓶もちゃんと運んでいるのだろうか?
 それにしてもコークとスプライトとファンタはどこにでもある。

 チャムジェ(Chamje:1430m)には11時過ぎに着いた。ここで昼食休憩をとる。ダルバード・カリーやオニオン・スープを食べくつろぐ。水分補給にはファンタ・レモン。汗かきの自分にとって一杯の紅茶ではとてもたりない。
   1時間ほど休んでチャムジェを出た。当初の計画ではここで泊る予定だったが、時間に余裕があるのでトール(Tal)まで足を運ぶことになった。
 チャムジェを少し行ったところで吊り橋を渡り東岸に渡る。しばらくの歩きの後、また長めの登りである。ただ、さっきの登りのようにルートだけが川底から高くなるのではなく、川底も上がってくるのでどちらかと言えば堰堤(ダム)の端を上っているような感じだ。

 ここもいい場所にお茶屋さんがある。家が一件建っており、なかには商売気のないおばあさんがいる。外には手ごろなテーブルとイスが日陰に用意されており、そこで一息させてもらうことにした。我々とは入れ替わりにどこかのパーティ(トレッキング隊)のポーターをしている女の子たちが大きなかごを背負って先に歩いていった。
 このようなお茶屋さんでは大きな荷物を立ったまま背負ったり降ろしたりできるような石積みが必ずといっていいほどある。ささやかだが人間の知恵と工夫が生かされている。と同時にあまりにも自動化された社会にいると、このような発想に鈍感になっているのではないだろうか。
 なにも頼まずに出るのもなんなのでスンタラ(みかん)を2つもらって出発する。

 坂を登りきると景観が開けた。谷間に平らな大地が広がっている。トール(Tal:1700m)の集落が右手奥に見える。ダムで土砂がせき止められてできた場所のようだ。ポリス・チェック・ポイントでパーミットのチェックを受け、宿に着いたのは14時をいくらか過ぎた頃だった。

 ここでシャワー(水)をあびでさっぱりした。しかしバハドールさんはこれからはシャワーは止めた方がいいと言う。風邪をひいたら元も子もないからだ。
 トールの集落は、左右に柱を立て上に木を渡した門のようなものが街道の北と南にある。集落のなかの街道は石畳状になっており、左右に何件かの宿屋や商店が並んでいる。集落の北側には大きな滝がある。
 宿の食堂でお茶を飲んでいると、欧米人トレッカーや馬の荷運び隊、牛の行列?などが通り過ぎて行く。
 トールの中を散策して出会った動物は次のような連中だ。やぎ、いぬ、にわとり(+ひよこ)、うし、うま、そして猫もいた。みな放し飼いだ。この中には人間に食べられるものもいるだろうが、食べられるまでは自由がある分ある意味で幸せかもしれない。

 到着するまでよかった天気の雲行きがだんだん怪しくなってきた。日が射さなくなるとともに風が出て気温が下がってきた。
 ここの宿はティベッタン(Tibetan)(チベット人)がやっている。今日、昼食をとったところもそうだった。宿の主人の話によると、シーズン中はアルバイトとして他から来ている子も何人かいるらしい。
 またここの老婆が以前負った火傷の具合が悪いという相談を受けた。傷の部分を見せてもらうと表面上は直っているが、内部で炎症を起こしているようだ。しかし我々は医者ではないし、素人療法は状況を悪化させる可能性さえある。相談をされても何も手助けをできないのは残念だ。
 このような時にひとを救うことのできる医師という職業には憧れと尊敬を感じる。
 今夜の宿泊客は(多分)ベシサハールまで同じバスだったチェコ人6人組?と、シルベスタ・スタローン(似の欧米人)一人のようだ。

<3日目:Tal〜Chame>


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