出国手続きを済ますと、今村さんは現地の知り合いにお土産を買っていく。免税店にあるのは、酒・たばこの他には香水や化粧品・ブランドものなど興味のないものばかりだ。酒は宴会用に買ってもいいかなと考えたことはあるが、晩酌もしない自分は実践したことがない。
搭乗口は22。案内にしたがって向かうとターミナルの一番端であった。あるのはドルで買える自販機といくつかのお土産やさん。一通り見てまわるが別段なにも買わなかった。食い物に惹かれたが機内食がでることを思い出しこらえる。
12時30分、定刻通り搭乗。乗客の大半は中高年層の日本人だ。向かう場所が場所だけに観光というよりは山歩き(トレッキング)にいくといった感じの人がほとんどだ。あとはネパール人がわずかに席を占める。
この便だと当日の夜に現地に着くが、学生やフリーターなどの「時間はあるが金がない」連中はあまり使わないだろう。理由は 1.値段、 2.経由地に寄れる(シンガポール、バンコク、香港など。中国本土入国には事前に査証が必要。)。 3.(はじめての場合)早い時間に着いた方が宿を選べるなど。
上海空港を経由し23時頃(日本時間)にカトマンドゥのTRIBHUVAN空港に到着。日本との時差は3時間と(中途半端な)15分、インドよりは15分早い計算だが単なる地理的理由か?
時差といえば、東西で4000km近く離れているのに北京時間で統一という中国のような例もある。だからカトマンドゥよりはるか西の場所でも中国国内ならば日本との時差が1時間となる。
査証の申請と入国審査。係官がポン・ポンとスタンプをついてくれておしまい。税関を抜け出口に向かうと、大勢のネパーリ(ネパール人)が出迎えてくれる。まあほとんどが客引きの子供か兄ちゃんかおっさんだ。
今回は現地のトレッキング会社へ入出国前後の宿とガイド・ポーターの手配を今村さんがしてくれていたため、そこのマイクロバスにお世話になる。
迎えに来た男に連れられ、空港の出口から数十メートル先に止めてあるマイクロバスに乗り込んだ。他に何名かの日本人のグループが乗り込む。すると一人の少年がザックなどの詰め込みを手伝っているではないか。トレッキング会社はサービスがいいんだなと妙に感心した。
だが、いざ車を出す直前になってここの頭らしい男がその子を追い出すではないか。どうも少年は会社とは全く無関係の人間らしい。追い払われるように車を降りつつも、便乗アルバイトの少年はこの国に着慣れた様子の女性からいくらばかしかのお金を手にできたようだ。