2011年12月08日鳥海不二夫 助教(社会システム情報学専攻)
組織的な若手研究者等海外派遣プログラム
組織的な若手研究者等海外派遣プログラムで7月から9月までの間イギリスを滞在しました。わずか3ヶ月間ではありましたが、国際色豊かな研究室での生活は刺激にあふれており、非常に中身の濃い時間を過ごすことが出来ました。滞在先は、社会シミュレーションの分野では世界的な権威であるNigel Gilbert教授の研究室、Centre for Research in Social Scienceです。この研究室は、イギリス・サリー州ギルフォードにあるUniversity of SurreyのFaculty of Arts and Human Sciences,Department of Sociologyにあります。ギルフォードはロンドンから南西に電車で30分程度の場所にある人口6万人ほどの小さな街です。典型的なイギリスの地方都市といった雰囲気で、映画ハリーポッターで主人公ハリーが夏休みを過ごした家がある街のイメージになったとも言われています。
今回滞在したCentre for Research Social Scienceは、社会学部に所属する研究室で、教授と技術スタッフ、それに研究員と博士課程の学生が10名程度所属していました。国際色豊かな研究室で、イギリス人は3人だけ。あとは、インド、中国、ドイツ、イタリア、チリ、トルコ、ギリシャと世界各国から集まった研究者がともに研究生活を送っており、これもまた日本では味わうことのできない貴重な体験でした。
ところで、海外に行ったときは、自国の文化を知っておくことは大切です。映画に詳しいイギリス人の研究者から「どうしてクロサワ映画を見ていないんだ!」と日本映画のすばらしさについて1時間くらい語られたりしました。長期滞在するときは、海外でも有名な日本の文化について調べておくほうが会話に困りません。
さて、研究活動について述べると、とにかく論文をよく読むことができたというのが印象です。着く早々研究室の教授から50ページ近くある論文が送られてきて「査読をよろしく」といわれたのをきっかけに、滞在期間中は「一日一論文」を目標にして、16時から18時までの間は英語の論文を読む時間としていました。最初のうちは2時間で英語の論文を読破することなど不可能に近いため、なかなか一日一論文とは行きませんでしたが、徐々に読む速度も速くなってきて、一日で一通り論文を流し込むことはできるようになりました。日本では他の業務が入ったりして、なかなかこの速さで読むことは難しいのですが、環境の違いが良い影響を与えてくれたように思います。