2013年11月22日橋本 英樹助教(計算機数理学専攻)
組織的な若手研究者等海外派遣プログラム
-
「組織的な若手研究者海外派遣プログラム」により2012年9月10日から10月6日までの約4週間、ノルウェーのモルデにあるMolde University CollegeのArne Lokketangen教授の研究室に滞在する機会をいただきました。ノルウェーは、原油や天然ガスなどの資源が多く、国土の大半は山地で、海岸線はフィヨルドを形成しています。鉄道はオスロを起点に放射状に延びていますが、地形が険しく鉄道を引く費用が高くなるためか地方都市間は鉄道があまり通っておらず、地方都市間の交通手段はバスや飛行機です。私が滞在したモルデは人口24,000人程度の小都市ながら空港を持っていました。
そのような状況からか、私が滞在したMolde University Collegeはロジスティクスに特化した大学で、スカンディナヴィアで有数のロジスティクス研究機関です。
現地で私を受け入れていただいたArne Lokketangen教授はMolde University Collegeの最適化分野(The Planning, Optimization and Decision Support Group)のリーダーを務めておられ、組合せ最適化問題に対するメタ戦略の研究で世界的に著名な研究者でもあります。名古屋大学にも外国人共同研究員として、2007年1月から2007年5月の間、滞在されており、そのことが縁となり、今回、Lokketangen教授を訪問させていただきました。Lokketangen教授とは以前より配送計画問題について共同研究を行っていました。配送計画問題は、様々な制約条件の下で、複数の車両を用いて全ての客をちょうど一回ずつ訪問するような経路の中で、コストが最小のものを求める問題です。これは、代表的な組合せ最適化問題の一つであり、また非常に実用性のある問題で、郵便・新聞配達、廃棄物収集、石油運搬や機械スケジューリングなどの応用を持ちます。一般に、配送計画問題を含むNP困難な問題では、与えられる問題例に対して厳密な最適解を求めることは現実的に極めて困難であると考えられています。今回の滞在では、数理計画法を用いたアプローチにより効率的に高品質な解を求めるメタ戦略の研究を行いました。
短期間ではありましたが、ロジスティクスを専門とする様々な様々な研究者や人々と交流でき、貴重な体験ができました。この機会を与えていただいた研究科の皆様、そしてモルデで温かく迎え入れてくれたLokketangen教授をはじめお世話になった多くの方々に感謝致します。
-