2008年10月30日メディア科学専攻・知能メディア工学講座
大西研究室(大西昇教授、工藤博章准教授、松本哲也助教、竹内義則准教授[情報戦略室])

● 研究の概要

 人間は、見る、聞く、言葉を理解するという重要な情報処理を行っています。研究室では、人間での情報処理の仕組みの理解、人間の優れた機能に学ぶと同時にユニークなアイディアに基づく視聴覚情報処理の計算機による工学的な実現(人工知能)、さらに、視聴覚機能を代替あるいは支援する福祉機器(福祉工学)の研究をしています。

研究室では、大西、工藤、松本、竹内の4名の教員が協力・一丸となって、学生の教育・研究指導を行なっています。各教員が現在中心的に行っている研究は以下の通りです。

大西:
目を閉じていても、音から周囲の状況を理解できます。どの方向から、どんな音が聞こえるかという聴覚によるシーン理解の工学的実現を目指しています。これはロボットの耳や、聴覚に障害のある人の支援になります。
工藤:
人間が、映像を観察した時に感じる知覚を定量化するための測定とモデル化について、研究を行っています。図形が周囲におよぼす場の測定や、映像視聴時の心拍測定などをテーマにしています。また、人間の知覚に近い画像処理技術の開発の研究を行っています。
松本:
類似画像検索は、多量の画像データ中から、必要な画像を探し出す際に有用ですが、各ユーザにおける類似度の定義の相違に影響されます。これを避けるため、利用者からの僅かな情報を最大限に利用した部分教師付き学習により、各ユーザに適した画像検索を実現する研究を行っています。
竹内:
筑波技術大学と協力し、聴覚障害者が講義を受ける際の遠隔地パソコン要約筆記による情報保障において、自動的にカメラを制御して講義を撮影し、遠隔の要約筆記者に撮影した講義内容を提示する研究を行っています。

● 多様な学生

 研究室の学生は、後期課程学生3名、前期課程学生8名、4年生5名、大学院研究生1名の計12名です。その内、ブラジル人2名、タイ人1名と国際色豊です。また、前期課程の内3名は、大学院から新たに研究室に加わった人です。

● 学生による、最近の研究発表

 後期課程の学生は積極的に論文を発表しています。

  • 西堀君の論文、「生物に示唆を得た選択的注意による視聴覚事象の対応付け手法」が、映像情報メディア学会誌(2008.07)に掲載。
  • WatchAreeruetai君は、6月に2つの国際会議で、画像特徴抽出の遺伝的プログラミングの効率性向上のための、冗長表現の正準変換(WCCI 2008)と、冗長表現の削除(SMCia/08)の研究を発表。
  • Lucena君は、5月に、心拍変動の解析手法(iCBBE 2008)、6月に、Gabor-Wavelets特徴に基づく心疾患のスクリーニング手法(BICS'08)の研究を発表。

● 研究だけでなく課外活動も

 写真は、先日、18年ぶりに再オープンした本山ボールでのシーンです。ゼミなどの研究室活動だけでなく、スポーツや飲み会、研究室旅行などのインフォーマルな活動を通して、構成員の相互理解と親睦を深めています。これにより、互いに存在を認め、協力しあう雰囲気の醸成に、皆が努力しています。○

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