2007年07月31日複雑系科学専攻・物質情報論講座
長岡研究室(長岡正隆教授)

『"化学"反応』の研究フロンティアを、情報科学的かつ計算科学的な手法を基礎にして、情報論的かつヴィジュアルに研究しています。
普通、『化学』というと、“実験室”、“白衣”、“フラスコ”などといったイメージを想い浮かべるかもしれません。しかし、今日では『化学』は、計算科学の大きな一領域を占めています。とくに日本では、福井謙一博士の「フロンティア電子理論」に対するノーベル化学賞受賞(1981年)からもその一端を知ることができるように、コンピュータ技術を高度に利用して推進する計算化学・理論化学は伝統的に世界トップレベルにあります。
こうした中で、私達の研究室では、従来の精緻な量子化学計算に加えて、時間変化と統計性を加味した新しい計算科学的手法の開発を通して未知の化学現象の解明を目指しています。具体的テーマは次の4つに分けられます。

  1. 凝集系化学反応の解明(自由エネルギー勾配法の提唱と展開)
  2. 生命現象の解明(タンパク質合成過程やその機能のアトミスティック計算)
  3. 非平衡系理論の開発(多原子分子のKFP方程式の提唱、最大エントロピー法)
  4. マルチスケール情報処理手法の開発(超多自由度系の非経験的計算技法の提唱)

この数年で、1000兆分の1秒(フェムト秒といいます)の時間スケールで起こる、超高速な化学現象が、定量的に実験観測できるようになってきています。また、一方でスーパーコンピュータやネットワーク技術に支えられて、複雑な物質現象の"非経験的"シミュレーションが可能になっています。
私の研究室では、こうした新時代の中で、出身・来歴も多岐に渡る、多彩な学生諸君が一丸となって、

  1. "生命現象理解" へと繋がる非経験的計算科学の方法論の構築と検証
  2. "非平衡・非定常現象" 発現機構のアトミスティックな解明

を夢見て、実験的に検証され得る“原子階層における超多自由度物質系”を対象とした、果敢なチャレンジが、日夜、繰り返されています。

参照URL:http://www.ncube.human.nagoya-u.ac.jp/

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