2006年08月10日複雑系科学専攻・複雑系計算論講座
畔上研究室

CAD(Computer Aided Design)、CAE(Computer Aided Eingineering)と呼ばれるソフトウェアが製品設計の現場で広く使われるようになってきました。最近では、それらを最適設計につなげることが課題となっています。従来の最適化プログラムは、CADで使われるパラメータを設計変数にして、CAEで繰り返しシミュレーションを行いながら、最適なパラメータを見つけていく手段がとられます。我々が目指す方法は、モデル自身が最適な状態に向かって変形していく架空の現象をシミュレーションすることです。我々の方法では、関数空間の勾配を基礎にしていることから、モデルの大きさに依らずシミュレーションを数回行う程度の計算量で1回の設計更新が計算できます。産学連携によって、我々の方法を組み込んだ商用プログラムが開発され、自動車をはじめとする各種製品の開発現場で使われています。この方法を数学として位置づける研究も数学の専門家と共同で進めています。
一方、整形外科医らと協力して、脊柱特発性側彎症の成因に関する研究も行ってきました。脊柱有限要素モデルを使った数値シミュレーションによって、脊柱特発性側彎症の成因は成長期特有の椎体の急激な成長に伴う座屈現象であるとする仮説に到達しました。現在、その仮説に基づいた、患者別成因の推定、最適治療部位の特定、自然経過・治療経過予測などを目指しています。また、形状最適化理論を応用した装具設計などの研究も進めています。
今後も産業界や異分野の専門家と協力して社会に役立つ計算論を展開していきたいと考えています。

畔上 秀幸(複雑系科学専攻)

参照URL:http://www.az.cs.is.nagoya-u.ac.jp/

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