論理学の哲学・数学の哲学に関する以下のセミナーを開催予定です。どうぞご参加ください。
- 場所:名古屋大学東山キャンパス 情報学研究科棟1階第3講義室
(情報学研究科棟はこのキャンパスマップのA4(3)です) - 日時:2018年4月27日(金) 15:00-18:00
プログラム
- 15:00-16:00 Wei Zeng, "Turing and Wittgenstein on types and mathematical notations"
(質疑応答の際には日本語も使用可です。) - 16:00-16:10 休憩
- 16:10-17:10 伊藤 遼,「二つの真理概念と誤謬の問題ーなぜラッセルは判断の多項関係理論を採用したのか」
- 17:10-18:00 ディスカッション
アブストラクト
伊藤 遼,「二つの真理概念と誤謬の問題ーなぜラッセルは判断の多項関係理論を採用したのか」
ラッセルは『プリンキピア・マテマティカ』を準備する中で、彼がこれまで支持してきた「判断の二項関係理論」、すなわち、判断を、主体と「命題」と呼ばれる、主体とは独立に存在する複合物とのあいだの二項関係であるとする立場を捨て、いわゆる「判断の多項関係理論」を採用するようになった。判断の多項関係理論とは、判断をそれが関わるところの諸事物と主体とのあいだに成り立つ多項関係として説明することにより、客観的複合物としての「命題」を措定することなく、判断がいかなるものかを説明しようとするものである。判断の多項関係理論は、ウィトゲンシュタインをはじめとする数多くの哲学者から厳しい批判を受けてきた。さらにまた、判断の多項関係理論を採用することは、論理学と心理学の切り離しを主張したラッセルにとって、心理主義的・観念論的な立場への逆行のように見える。というのも、彼はかつて、客観的存在者としての「命題」を論理学の主題とみなすことで、判断論と論理学との切り離しをはかったからである。こうした事実を踏まえると、彼が判断の多項関係理論を採用した理由を明らかにすることは、彼の論理主義や反心理主義という立場がどのようなものであったのかを理解する上で、大変な重要性を持つと言える。本発表は、その理由を、ラッセルの真理概念の移り変わりとその背後にある一つの問題、「誤謬の問題」に焦点を当てることにより、明らかにすることを試みるものである。
Wei Zeng, "Turing and Wittgenstein on types and mathematical notations"
From 1942 to 1945, Turing’s work focuses on type theory and the reform of mathematical notations. Turing points out that mathematics benefits very little from symbolic logic because for many mathematicians symbolic logic is a “very alarming mouthful”. Turing proposes a mild reform of mathematical notations that consists of a number of “small suggestions for improvement”. In particular, Turing suggests borrowing the concept of noun-class from natural language and applying it to mathematical notations so that the problem of types can be solved. Turing acknowledged this idea was inspired by Wittgenstein’s lectures in 1939. I shall examine Turing’s Wittgensteinian approach in the reform he suggests as well as the different perspectives and aims between Wittgenstein and Turing on this issue.
主催:名古屋大学大学院 情報学研究科 科学哲学研究室 (戸田山・久木田研)