今回のワークショップはできるかぎり「リラックスした」空間において〈分析哲学を振り返る〉および〈分析哲学のこれからを考える〉ということを目指します。堅苦しい研究会ではございませんので、このテーマにご興味のある方は気軽にご参加頂ければと思います。以下、会の趣旨の私(山口)による説明です。


今回のワークショップが企画されることになった発端は、私がSNS上で、分析哲学の意義は問い直される必要がある、という趣旨の文章をアップロードし(これは一橋大学でのセミナーの発表原稿であり、私のResearchmapで読むことができる)、これに森岡と久木田が関心をもったことである。その文章で述べたことだが、私の考えでは、〈論証を扱うことを生業とする〉という分析哲学の自己イメージはこの知的営みがより良い方向へ伸長していくことの妨げになっている。こうした指摘に森岡や久木田がどう応答するかを私はまだ知らないが、いずれにせよ《分析哲学のベターなイメージが求められる》と私は主張したわけである。

発端はこうしたものだったのだが、企画の途上における笠木と和泉の参加を経て、より広い観点から、そしてより「不偏的な」文脈において、分析哲学の再考を試みてみようということになった。例えば分析哲学に関する私の上記の指摘はひょっとしたら私の「分析哲学」の理解の狭さに起因するだけかもしれない。そして、こうした点をはっきりさせるためには、複数の(できれば多数の)人間が集まってそれぞれの分析哲学イメージを披歴し合うことが役に立つだろう。実際、私は自分の研究経験から一定の分析哲学イメージをもつに至っているのだが、これを素朴に普遍化して分析哲学一般について何事かを語るわけにはいかないだろう。こうした「素朴さ」を脱するためにも、いろいろな観点からの意見を聞き、自らが抱いているイメージを批判的に検討せねばならない。

かくして、私の上記の特殊な指摘とは多かれ少なかれ独立して、そして「分析哲学をどう理解すべきか」をめぐる細かでテクニカルな議論を行なう手前の作業として、今回のワークショップでは、いわば学的な堅苦しさから自由な環境において、ざっくばらんに分析哲学のイメージを語り合いたい。具体的には、以下に挙げる五人の発表者のそれぞれが20分くらいでテーマに沿った話を行ない、そのあとで来場された方とともにディスカッションを行なう予定である。

発表者

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久木田水生 minao.kukita@i.nagoya-u.ac.jp