複数台のカメラが同一物体を追跡するような場合に,カメラの位置や姿勢を求める研究を行っています.
このカメラの位置や姿勢を求めることをカメラの校正といいます.カメラの校正を行うと,パノラマ画像
を作成したり,観測された物体の3次元形状を求めたりすることができるようになります.
本研究では,カメラの位置や姿勢を自動的に求める方法について研究を進めていきます.
カメラ校正は大きく3つのステップに分けることができます.
1.カメラ間の対応を得る.
2.カメラ間の対応からカメラの位置、姿勢を含む行列を求める.
3.は求めた行列からカメラの位置、姿勢を求める.
本研究では第1ステップのカメラ間の対応を自動的に得る手法を開発していきます.まず,カメラ間の対応に
ついて説明すると,カメラ間の対応とはあるカメラに投影されている点が別のカメラではどの位置に投影されて
いるかを示す対応のことを指します.カメラ間の点の対応を自動的に求めることが難しいのかと疑問に思う人
もいるかもしれませんが,意外と難しいのが現状です.その理由としてはある画像上の特徴点,例えばディス
プレイの角,に対応する点を別の画像上から探索しようとすると,同じような特徴点がいくつも見つかり,どれ
が正しい点の対応かということを一意に決めることが難しいという問題があります.この問題を解決するために
本研究では移動物体を複数台のカメラで同時に追跡し,カメラ間の対応を求めていきます.
点対応を4点以上求めると,そこからHomography行列を求めることができます.Homography行列はカメラ
間の位置,姿勢を含む行列であり,Homography行列からカメラ間の位置,姿勢を求めることができます.
カメラ間の対応を複数台カメラによる移動物体の同時追跡により求め,そのカメラ間の対応からHomography
行列を計算し,カメラ間の位置,姿勢を求めました.本手法で求めた結果と従来手法によって求めた結果を比較
しました.その結果,従来手法とほぼ同様の結果が得られました.