研究概要
量子化学計算や分子動力学法を用いたコンピュータシミュレーションによって、溶液や界面での物質の構造や電子状態とそれらのダイナミクスを分子レベルで理解することを目指しています。現在は、特に金属錯体や有機色素の励起状態に興味を持って研究を行っています。最近の研究例はRESEARCHを参照ください。
物質が光を吸収して励起状態になると、エネルギー的に安定な状態へと緩和していきます。特に、状態密度が高く、複数のスピン多重度がある遷移金属錯体の励起状態では、項間交差や内部変換、構造変化が絡む緩和が起こります。当研究室では、遷移金属錯体の励起状態で起こる複雑なダイナミクスをコンピュターシミュレーションを用いて解き明かすことを目指しています。
花や果実に含まれる植物色素アントシアニンは、pHによって発色団であるアントシアニジン骨格の構造が変化するため、幅広く多彩な色を持ちます。発色や安定性には、助色素との分子会合や金属イオンとの錯形成も関連します。当研究室では、量子化学計算や分子シミュレーションを駆使して、アントシアニンなどを対象にした課題にも取り組んでいます。